感染対策
感染対策の重要性
以前、雑誌にこのような記事が掲載されました。

「歯科で歯を削るハンドピース機器(タービンなど)が7割の歯科医院で使いまわしされている」という内容です。
この内容は雑誌だけにとどまらず、新聞やニュース、ネット記事などにも大きく話題として報道されたので、ご記憶の方も多いかと思います。
当院でも感染対策についてのお問い合わせを頂きました。
この問題がなぜ話題になったかというと、「感染性の病気にかかっている人が、自分が病気にかかっていると気付かずそのまま歯科治療を受け、唾液や血液が器具に付着し歯を削る機器の中に入り、他の人に移す可能性がある(院内感染の恐れがある)」からです。
感染性の病気にかかった唾液や血液は、一般的な歯科医院にある高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)では残念ながら全て滅菌できません。機器内部にまで入り込んだ唾液や血液を完全滅菌するには、より滅菌機能を高めた機器で対策を行う必要があります。

院長は日本歯周病学会専門医でもあることから「感染」に対して人一倍のこだわりを持ち予防治療を行っておりました。そのため、この記事が出回る前より院内感染対策の重要性に気付いており、治療に厳しいヨーロッパ基準で認められているクラスBの高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)を開業当初より導入、滅菌対策を行っております。
患者さんの口に入るものは可能な限り清潔にすることで、少しでも安心して治療を受けていただきたいと考えています。これが当院における滅菌対策のこだわりです。
あさい歯科クリニックの感染対策

治療の際に患者さんが気になる感染対策ですが、ヨーロッパなどと比べると日本は感染対策の意識があまり高くない状況です。
治療時に歯を削る場合は出血が避けられない時があります。あさい歯科クリニックではスタンダード・プリコーション(標準予防策)という考えの元、清潔な環境で治療することを目指し院内の滅菌対策に配慮しております。
スタンダード・プリコーション(標準予防策)
患者さんの血液、体液(唾液、胸水、腹水、心嚢液、脳脊髄液等すべての体液)、分泌物(汗は除く)、排泄物、あるいは傷のある皮膚や,粘膜を感染の可能性のある物質とみなし対応することで、患者さんと医療従事者双方における病院感染の危険性を減少させる予防策。
また、器具・機材について次のように感染対策を実施しております。
感染対策
使い捨て(ディスポーザブル)にしている物
- 紙コップ
- 歯ブラシ/歯間ブラシ/フロス
- ゴム手袋
- 紙エプロン
- 注射針、麻酔液
滅菌処理している物
- 基本セット
- 切削器具
- バー類
- タービン類
- 手術器具
滅菌処理システムの流れ

① 超音波洗浄機
使用した器具は、水洗い後に薬液浸漬しながら超音波洗浄を行います。この薬液の化学的作用により、血液・脂質・タンパク質等を除去するとともに、手の届かない隙間の汚れを超音波で物理的に粉砕しながら、水洗いで落ちない汚れを取り除きます。
② オートクレーブ:高圧蒸気滅菌
超音波洗浄された器具のうち、基本セット・金属製器具はこれで滅菌します。高温・高圧処理するため、多くの種類の細菌やウイルスの死滅が可能です。但し、熱に弱い器具には使用できません。
③ ホルホープ:ホルマリンガス殺菌
オートクレープにかけられないプラスチック製の器具や使用したバー、タービン類など殺菌します。
常温・常圧環境で殺菌するため、器具・器材を傷めません。HIVはじめB型やC型肝炎ウイルスなど、ほとんど全ての病原菌に対して有効です。
④ リサ:クラスBオートクレープ
小型高圧蒸気滅菌器のヨーロッパ基準で「あらゆる種類の被滅菌物を安全に滅菌できる」とされています。滅菌開始時は真空と蒸気の注入を繰り返し、従来のオートクレープで滅菌できなかったところも滅菌。ドアを開けず乾燥を行うため外部の雑菌が浸入しません。主に外科用器具の滅菌に使用します。
⑤ iClave mini:高圧蒸気滅菌
使用頻度の一番高い、削る器具(タービンやエンジン)にこの専用滅菌機器を用います。従来使用していたガス滅菌器では約50分かかっていましたが、こちらの高圧蒸気による滅菌器は最短で14分とかなり時間短縮が可能になりました。もちろん器具を痛めることなく、ほとんどの菌に対して有効です。当院の「削る器具」で使用するものは、毎回滅菌を行った器具を用い、患者さんへご納得いただける歯科治療に努めています。
⑥ 口腔外バキューム
口腔内の治療時に、口腔外に飛び出す粉塵(歯を削った際の粉や金属片、唾液、血液など)を吸い取るための歯科用吸引装置です。細菌感染した物質が空気中に飛び散るのを防ぎ、院内の空気を清潔に保つため、感染対策に大いに効果を発揮します。
患者さんに安心して診療を受けて頂けるよう、あさい歯科クリニックではあらゆる配慮を行っています。
⑦ 殺菌スリッパ
本体上部より少し下にあるボタンを押すと、殺菌済みのスリッパが下から出てきます。
また、使用済みのスリッパは本体上部の返却口に置くと、ボックス内に収納する仕組みです。
収納している間はスリッパの内側、裏側問わず紫外線で一律殺菌しますので、いつでも安心して殺菌したスリッパを履けます。